テーブルにはミメーシス(模倣)を象徴するデスマスク、ハプスブルク王朝を象徴する双頭の鷲のシャンデリア、世界を意味するクラース・ヤンスーゾン・フィッセル作 「ネーデルランド17州地図」、勝利を意味する月桂冠、知識・智恵・歴史を表す史書を持ち、名声を告げるトランペットを片手に、学芸の女神の一人「クレオ」に仕立てたモデルを描く。画家のメッセージを読み解く図像学。僕にとってフェルメールは、好みではない画家の一人。
だが、考察を施すのが図像解釈学(イコノロジー)であるなら、まさに、僕は画家のカンバスをみるだろう。フェルメールの「絵画芸術」からは。
Vermeer used light grey to light brown grounds on the majority of his paintings.
canvas by umber colored "gesso"
イタリア語で、チョーク(chalk)は「ゲッソを塗った」と呼ばれるらしい。パレットナイフでサイジングをし、アニマルスキンに浸すという。着色顔料のチョーク(混ぜ物)、亜麻油、白鉛および様々なコンビネーションからなり、暖かい淡黄色の調子のグラウンドを使用したということだ。それはレンダリングを非常に助けるらしい。
それが、このディティール。僕にとっては、スラッシュのファッションより、「フェルメールは、大多数の作品を、ゲッソを塗ったキャンバスを使用した」という記述を読んだことで、このうしろ向きの画家への関心は、まさにキャンバスなのだ。引用のとおり、いま画家が描いているキャンバスは、白地ではない。
さて、この色調が、絵具に強い影響をもたらすことは、素人の僕にも理解できそうだ。陰になったエリアの演出を非常に効果的にするだろう。だが、明るい部分はどうするのだろう。何層も塗り重ねるのだろうか。ちょうど、筆は月桂冠に色をつけ、右腕の下からは白い輪郭がみえる。だが、画家のキャビネットともいえる筆、ブラシ、そして多くの「絵画芸術 Allegory of Painting」に描かれているパレットが不在なのだ。
しかしだ。遠近法の様子が伺えるではないだろうか。右上の赤いピンのようなものに括り付けられた「糸」が張られ、いわゆる墨付をしたという放射状のひとつが画家の手元まで描かれている。(ご存知だと思いますが)
面白いことに、キャンバスの中のキャンバスに描かれた、手元まで伸びる放射状の一線は、この「絵画芸術」全体のキャンバスを、ある幾何学的な作図に取り込み、描かれた三角形の一辺に、「手元まで伸びる放射状の一線」がピタリと符号するのである。
その作図を拝借した。
画像をクリックすると、拡大されたものをご覧いただける。これは、悪友「a-Lei」の「読書の秋用」で購入した輸入本からの紹介だ。
Robert A. diCurcio著の「 VERMEER'S RIDDLE REVEALED」である。
ご覧いただけたであろうか。実は、完成図の一歩手前の作図だが、全体の中心から円を描いた三角形ABCの底辺BCが、「手元まで伸びる放射状の一線」と符号。ちょっと感動。
しかも、五芒星ならぬ、六芒星のようである。ソロモンの指輪でも有名な「六芒星/hexagram」は、「賢者の石」を象徴し上向きの△と下向きの▽を二つ重ねた形状が、互いに浸透しあい統合、統一を表すという。まさか、フェルメールはフリーメーソン?
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今、皆さんのところグルーッと廻ってきました。
凄いボリュームで私もう疲労困憊。
画像をいろいろ見せていただきながら一回りして来て感じるのは、やはり光の扱いの清潔さでした。
カラバッジオ、ラトゥール、レンブラント、ターナーなどは光を強調することで強い効果を出しましたが、これら光を見事に扱った画家達とフェルメールが決定的に異なるのは、光を穏やかに自然に扱うことでカラバッジオらの劇的さとは反対の意味合いでの劇的効果を獲得しているということです。
私、銀花という雑誌でよく仕事をしている小林庸浩という写真家がとても好きなのですが、彼の写真は自然光だけで撮られたものが殆どで、その穏やかで繊細な光の表現に参ってしまっているわけです。
清潔な穏やかな表現というものが共通していて、私は同じような美しさをこの二人に感じているのですが、かたや超有名、かたや誰か知ってます ? という感じでチト残念
なんですけどね。
フェルメールに戻りますが、表現者でいながらも何故かくも穏やかな澄明さで活動を続けえたのか、なにか奇跡の感すらするのですよ。
見事なテキストありがとうございました。