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Karl Lagerfeld

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グリークの劇音楽 イプセンのペール・ギュント
book / SAI

ペール・ギュントは没落した豪農の息子で、怠け者で法螺吹き、空想癖の放浪者。そんなダメ男に恋をする女たち。馬鹿じゃない?

けれど、その一人の女がイプセンの趣旨だった。

イプセンの「ペール・ギュント」はムンクはプログラム、ココシュカが作品化しているが、アーサー・ラッカムの挿絵本もある。

今日はグリークの劇音楽をYOU TUBEから紹介し、後半はあらすじをご紹介。

Christensens oppsetning på Nationaltheatret 1936 Peer Gynt

ペール・ギュントのアルフレッド・モーアスタッド
母オーセのジョアン・ディバットソム
国立劇場(ノルウェーのオスロ)1936年公演から


旧称クリスチャニアはご存知のように現在のノルウェーの首都オスロのことで、1876年にイプセンの「ペール・ギュント」がオスロの国立劇場で初演となった。

Hervé Pierre and Catherine Samie as Peer Gynt and his mother Åse. Photo: Brigitte Enguèrand

ペール・ギュントのエルヴェ・ピエール
母オーセのキャサリン・サミー
コメディ・ フランセーズ グラン・パレ 2012年5-6月公演


だからイプセンといえば国立劇場だけど、今年の5月から6月にかけて、グラン・パレで特別公演があった。あのモリエールの時代からのコメディ・フランセーズの役者たちがクリスチャン・ラクロワ(Christian Lacroix )の衣装ときたものだから、音楽+演劇+ファッションという豪華な公演だった。脚本や音楽、演技がどうのというより、ラクロワの舞台衣装が見ものだった・・・。


第1組曲 作品46 (1891年 編曲)

第1曲「朝」(Morgenstemning)
Edvard Grieg - Peer Gynt - Suite No. 1, Op. 46 - I. Morning Mood

第2曲「オーセの死」(Åses død)
Edvard Grieg - Peer Gynt - Suite No. 1, Op. 46 - II. Aase's Death

第3曲「アニトラの踊り」(Anitras dans)
Edvard Grieg - Peer Gynt - Suite No. 1, Op. 46 - III. Anitra's Dance

第4曲「山の魔王の宮殿にて」(I Dovregubbens hall)
Edvard Grieg - Peer Gynt - Suite No. 1, Op. 46 - IV. In the Hall of the Mountain King
Peer Gynt Suite No. 1, Op. 46, In the Hall of the Mountain King - E. Grieg


 第2組曲 作品55 (1892年 編曲、1893年 改訂)


第1曲「イングリッドの嘆き」(Bruderovet. Ingrids klage)
Edvard Grieg - Peer Gynt - Suite No. 2, Op. 55 - I. Ingrid's Lament

第2曲「アラビアの踊り」(Arabisk Dans)
Edvard Grieg - Peer Gynt - Suite No. 2, Op. 55 - II. Arabian Dance

第3曲「ペール・ギュントの帰郷」(Stormy Evening on the Sea) (Peer Gynts hjemfart (Stormfull aften på havet))
Edvard Grieg - Peer Gynt - Suite No. 2, Op. 55 - III. Peer Gynt's Homecoming

第4曲「ソルヴェイグの歌」(Solveigs Sang)
Edvard Grieg - Peer Gynt - Suite No. 2, Op. 55 - IV. Solveig's Song


 オリジナル劇音楽「ペール・ギュント」全27曲
(番号付きの26曲と番号なしの1曲) by London Symphony Orchestra
Photo by Brigitte Enguèrand(ブリジット・アンゲラン)

 
第1幕

Ready for the wedding. In the middle the bride, Ingrid,- Adeline d´Hermy. Photo: Brigitte Enguèrand

コメディ・ フランセーズ/グラン・パレ ペール・ギュント 2012
花嫁のイングリ(イングリッド)のヘーグスタット莊での婚禮式


Grieg: Peer Gynt, Op. 23 - Prelude, Bridal Procession, Folk Dances
1.前奏曲 婚礼の場で(I Bryllupsgården)
※ ハルヴォルセンによる追加曲 ピアノ曲集「人々の暮らしの情景」作品19の第2曲から花嫁の行列の通過(Brudefølget drager forbi 1886)
2.ハリング舞曲(Halling)
3.跳躍舞曲(Springar)

第2幕

Hervé Pierre and Adeline d´Hermy as Peer Gynt and Ingrid. Photo: Brigitte Enguèrand

コメディ・ フランセーズ/グラン・パレ ペール・ギュント 2012
花嫁イングリ(イングリッド)とペール・ギュント


Grieg: Peer Gynt, Op. 23 - Abduction of the Bride, Ingrid's Lament, Mountain Girls
4.前奏曲 花嫁の略奪とイングリ(イングリッド)の嘆き(Bruderovet - Ingrids Klage)
5.ペール・ギュントと山羊追いの女たち(Peer Gynt og Sæterjentene)
6.ペール・ギュントと緑衣の女(Peer Gynt og den Grønnkledte)
7.ペール・ギュント「育ちのよさは馬具見りゃわかる」(Peer Gynt: 《Pa Ridestellet skal Storfolk kjendes!》)


Grieg: Peer Gynt, Op. 23 - In the Hall of the Mountain King
8.ドヴレ山の魔王の広間にて(I Dovregubbens Hall)

Serge Bagdassarian as The Mountain King Hervé Pierre and Florence Viala as Peer Gynt and The women in Green - daughter of the Mountain King. Photo: Brigitte Enguèrand

コメディ・ フランセーズ/グラン・パレ ペール・ギュント 2012
左:魔王(セルジュ・バグダサリアン)、その娘(フロランス・ヴィアラ)


Grieg: Peer Gynt, Op. 23 - Mountain King's Daughter, Trolls, Bøyg Scene
9.ドヴレ山の魔王の娘の踊り(Dans av Dovregbbens Datter)
10.ペール・ギュントはトロルに追い回される(Peer Gynt jages av Troll)
11.ペール・ギュントとベイグ(Peer Gynt og Bøygen)

第3幕



コメディ・ フランセーズ/グラン・パレ ペール・ギュント 2012
母.オーセの葬儀


Grieg: Peer Gynt, Op. 23 - Solveig's Song, Death of Åse
12.オーセの死(Åses døt)
無番号の1曲

第4幕

Grieg: Peer Gynt, Op. 23 - Morning Mood [Morgenstemning]
13.前奏曲 朝のすがすがしさ(Morgenstemning)

The four foreign Gentlemen that Peer meets in Morocco, From left Michel Favory, Éric Gènovèse, Nâzim Boudjenah, Stéphane Varupenne. Photo: Brigitte Enguèrand

コメディ・ フランセーズ/グラン・パレ ペール・ギュント 2012
モロッコの4人の紳士たち


Grieg: Peer Gynt, Op. 23 - Arabian Dance, Anitra's Dance, Serenade
14.盗賊と密売者(Tyven og Heleren)
15.アラビアの踊り(Arabisk Dans)



コメディ・ フランセーズ/グラン・パレ ペール・ギュント 2012
キャスト勢ぞろい アニトラ、ボタン職人ら


16.アニトラの踊り(Anitras Dans)
17.ペール・ギュントのセレナーデ(Peer Gynts Serenade)
18.ペール・ギュントとアニトラ(Peer Gynt og Anitra)



コメディ・ フランセーズ/グラン・パレ ペール・ギュント 2012
ソルヴェイ(ソルヴェイグ)の家族 彼女の両親と妹ヘルガ


Grieg: Peer Gynt, Op. 23 - Solveig's Song, Homecoming, Shipwreck (第5幕の23まで)
19.ソルヴェイ(ソルヴェイグ)の歌(Solveigs Sang)
20.メムノン像の前のペール・ギュント(Peer Gynt ved Memnonstøtten)

第5幕

21.ペール・ギュントの帰郷、海の嵐の夕方(Peer Gynts Hjemfart. Stormfull Aften på Havet)
22.難破(Skipsforliset)
23.小屋でソルヴェイ(ソルヴェイグ)が歌っている(Solveig synger i Hytten)

Hervé Pierre - Peer Gynt and Left Suliane Brahim as Solveig. Photo: Brigitte Enguérand

ソルヴェイ(ソルヴェイグ)のスリアン・ブライム


Grieg: Peer Gynt, Op. 23 - Night Scene, Funeral, Solveig's Lullaby
24.夜の情景(Nattscene)
25.ペンテコステの賛美歌「祝福の朝なり」(Pinsesalme: 《Velsignede Margen》)
無伴奏のユニゾンによるペンテコステ(聖霊降誕祭)の賛美歌のコラール
26.ソルヴェイ(ソルヴェイグ)の子守唄(Solveigs Vuggevise)


ペール・ギュント あらすじ キリスト教の三元徳に至る戯曲



Peer Gynt by Edvard Munch

ムンク ペール・ギュント プログラム


僕的意訳のほか1925年の世界童話大系 世界童話大系刊行會にある「ペール・ギュン」 から 楠山 正雄(1884-1950)の翻訳を参考にした。

第1幕

 
屈強の男子、20のペール・ギュントが登場。母親オーセはペールの法螺に小言を言う。

「あゝ、わたしは黒い棺に入ってしまいたい。本当に神さま、生れて参らなければよろしゅうございました。祈ろうが泣こうが、こいつの根性は直りませぬ。 ペール、お前は墮ちた。救われないぞ!」

のらりくらりと母親の小言をかわすペール。

「あゝ、お前、ペールや、せっかくの立派な娘(イングリット)をなぁ・・・、古い地主の家柄ではあるし。お前にもう少し氣の利いたところがあれば、今頃は立派な婿さんでいられるのに。」

マース・モーエンとイングリットの婚礼は明日。ペールはその気になって母親が止めるのも聞かず家を飛び出す。当日、婚礼の準備中に堅信礼を済ませたというソルウェイク(ソルヴェイグ)と出会い踊りに誘うが、ソルウェイク(ソルヴェイグ)は断る。酔いのまわった大勢の客たちがなだれ込み、母親オーセもやってきて喧々囂々のなか、マース・モーエンが叫んだ。

「あいつが俺の嫁を連れて行くぞ。熊が豚を浚うように!」

村人たちが追いかける。

第2幕

 
婚礼の翌日の早朝。ペール・ギュントはに不機嫌に足早に山道を上がる。浚われたイングリットは「これだけのことを仕出かして、私にどこに行けと言うのだろう。」とペールを引き止める。

「俺を引止めるだけのものが何かあるか。」
「ヘーグスタットの田地の他にも沢山あるわ。」

「いやいや、讚美歌の本、肩にかかる黄金色の髮、前掛けと慎ましく目を伏せる仕草、母親のドレスをそっとつかむような女かどうかだ。この5月に堅信礼を済ませたか?俺の誘いを拒むことができるか?」

「もう無茶苦茶よ。この報いはきっとくるぞ!覚えていろ!」とイングリットは叫んだ。

山中では母親オーセ、ソルウェイク(ソルヴェイグ)とその両親、妹ヘルガが二人を探す。

ソルウェイク(ソルヴェイグ)「もっとお話を聞かせてくださいな。」
母親オーゼ「倅のことを?」
ソルウェイク(ソルヴェイグ)「えぇ、残らず聞かせてくださいな。」

一方イングリットを置き去りにしたペールは、三人の牧小屋の女たちが「ヴァールフィエルドのトロンド鬼よ。カーレー鬼バール鬼よ。山の神の仲間よ。今夜はわたし逹に抱かれて寝よ。」と呼びかけているところに出会う。日没の頃、取り乱した躰で現れるペールは、空を突き抜ける城、緑の着物を着た女を見かける。

この鬼の王の娘とペールのやりとりが面白いんだ。省略するけど。

そのころ、「キリスト教徒の倅が鬼王陛下の最愛の姫君を誘惑いたしました。」と老鬼王に報せが入る。

ペールは魔王(鬼王)に「姫君とその持参金かわりに領地を頂きとうございます。」と申し出た。さて魔王、ペールに尾をつけさせ、尿を飲ませたほかに、次に左目を引っかき、右目を抉ると条件をつけた。

「これからはつまらぬ心配や苦労に目をくらまされることがなくなる。」(へぇー、なるほど)

さすがのペールも逃げ出した。トロルたちが追いかける。寸でのところで山の鐘が鳴り響き、命が助かった。

暗闇のなか、何かにぶつかった。「道をあけろ」というペールに、「声」は「道を廻れ」と答える。

「廻つて行けよ、ペール」

日の出。ペールはオーセの古小屋の前で目覚めた。そこにソルウェイク(ソルヴェイグ)を探すヘルガに出会う。ペールはソルウェイク(ソルヴェイグ)への伝言を頼んだ。

第3幕

 
新しい小屋を建てたペール。そこに手荷物をひとつ持ったソルウェイク(ソルヴェイグ)が現れた。家族と別れてペールの元に来たわけだ。現れたのはソルウェイク(ソルヴェイグ)だけではなかった。

ボロボロの緑の服を着た魔王の娘とペールとの間に誕生した子豚のような子供。

「廻つて行けよ、ペール」

あぁ、そうか。あの「声」。障壁やいろんなものを通つてここからあの女のところに行ける一本道と言うのはないのだと言うことだったのか。

悔い改めだと?生涯がかかってしまうじゃないか。

あの女を清らかに汚れなく描くために十分に近くに引き寄せたい。出來るだけここらを遠廻りをやつて、果して損もしず得もしないか試して見なければならない。

扉口でソルウェイク(ソルヴェイグ)は声をかけた。「いらっしゃるの?」

「廻っていくよ。」 ペールは林の道を降りて行った。ペールは母オーゼの元に向った。

臨終の時を迎えている母オーゼ。

オーセ
「おやペール。あのリンと鳴る音はなんだい?」
「荒々しい声の響き、ざわつき、ため息は何だろう」
「今度は遠くに光るものが見える。あの火は何だろう」

「それはソリの鈴ですよ。あれは松の木が鳴る音です。城の窓や扉口から洩れる火が光っているのです。」

おとぎ話のようなペールの受け答えがはじまる。まるで童話でも読み聞かせているような、ね。この会話が第5幕でオーセがペール、ペールがボタン職人にかわり、繰り返される。このおとぎ話のような親子の会話の本質が第5幕で理解できる。

「聖ペトロがあなたにお入りなさいと言っています。」に旅の終わりを告げる。

「君よ、もったいぶって守衞じみた樣子はやめにして、わが母オーゼを自由に入らしめ給へ。」

ペールは母オーゼを看取って旅立った。

第4幕



モロッコの南西海岸。

「どうぞ諸君召上つて下さい。そもそも人間は歓楽をつくすために生れて来たものといたしますれば、 進んで歓楽の底まで十二分に味わいつくすべきものであります。 諺に曰く、なくしたものはなくした物、過ぎたことは過ぎこと・・・といかがでございます、何かお一つ。」

ペールがすすめているのは4人の紳士。イギリス人コットン氏、フランス人バロン氏、 ドイツ人フォン・エーベルコップ氏、スウェーデン人トルムペーターストローレ氏だ。

「ギュント的自我。それは希望とか願望とかの軍勢です。 ギュント的自我、それは空想とか欲求とか主張とかの海です。 短く言へばわたしの胸を盛りあげしめるところのすべてです。 そしてそれによってわたしはわたしとして存在するのです。 けれども主が自分で世界の神となるために土を必要としたように、 わたしもまた皇帝として振舞うと言うには金が必要なのです。」

立派な中年の紳士となったペール。だがこの4人の紳士に全財産を持ち逃げされる。

まぁ、謙虚さに欠けているペールだから、やられちゃったと思うけどね。世間の人はいづれ、自分はすぐにって身勝手なんだけど。しかも「 諺に曰く、なくしたものはなくした物、過ぎたことは過ぎこと」と言っていたクセにさ。

「あの仲間の悪党めら。 (略)  父よ、わたくしのためにしばらく手をお伸し下さいまし。そういたしませんでは、 わたくしは厭でも滅びなければなりません。船の機關が止まりますように。 あの盜賊どもをお引止め下さいますように。機關の故障の出來ますように。 どうぞお聞き下さいますように。ほかの人間の為事はどうなろうとかまいません。 世間の人たちはいづれゆっくり何とかいたしましょう。」

すると一道の焔がヨットから出て空に燃え上がった。死はペールの願いを叶えちゃたんだ。

いまさらながらゆっくり読むと、ソルウェイク(ソルヴェイグ)を残して、黒人の人身売買をしていたんだ。奴隷貿易。

「わたしは黒んぼの輸出をやめました。その代りに宣教師をアジアに輸出いたします。」

わざわざ4人の紳士の国が明らかになっているのは、19世紀前半に奴隷制度を廃止している国と奴隷制のないドイツ。

そういうこと?

さてペール・ギュントも4人の紳士と同じように盗みをして、「預言者」となるんだね。盗賊の戦利品、モロッコの皇帝の着物と白い馬で。

ベドウィン族酋長の娘アニトラと少女たちが踊る。

豫言者は來ませり。豫言者は、主なる全能の神は、來ませり。
我等が中へ神は來ませり。砂の海を越えて來ませり。
豫言者は、主なる全智の神は、來ませり。
我等が中へ神は來ませり。砂の海を越えて來ませり。
笛よ鳴れ、太鼓よ轟け。豫言者は來ませり。豫言者は來ませり。

そうして、ペールの宝飾を差し出しアニトラを口説きはじめるが、嫌がるアニトラはさっさと馬に乗り去っていく。

ペールは今度はエジプトへ。

メムノンの像から歌が聞こえる。
「像は歌を唄えり。余はその響を明かに聞きたれども、歌の文句を辿るに至らざりき。 勿論すべては幻覚なりき。この外に今日は何等重大なるものを觀察せず。」 と手帳に書きつける。

スフィンクスに向い、「一体お前は何者だ」と叫ぶと、「あゝ、スフィンクス、一体お前は何者だ」という声が聞こえる。「ドイツ語にて鸚鵡返しに答う。ベルリンの訛あり。」 と手帳に書きつける。

するとベグリッフェンフェルトという男が声の主だった。彼にペールは「スフィンクスは自分自身」と言う。ベグリッフェンフェルトは喜んで、ペールを精神病院の皇帝として迎えた。

「わたしはどうしたのだろう。  (略)  こんな際には急にあなたのお名前が私には思い浮べられないのです。 おゝ、わたしをお助けにおいで下さいまし、気違いたちをお護り下さる方よ。 」

ペール・ギュントはそう言って気を失った。

「フッ。泥沼の王位についたこの男を見るがいい。自分自身を失って。」

ベグリッフェンフェルトはペールに藁の輪をはめ、「自我主義皇帝万々歳!ペール大王万歳!」と叫んだとさ。

第5幕



故郷ノルウェーに帰る船が難破した。料理長を犠牲に一人救命ボートにしがみついて帰郷。

故郷では牧師が墓の前で葬儀をとりおこなっていた。葬儀に参列していた村人たちは、ペールだとは知らずに挨拶をする。

競売をする若者。そこにはイングリットとペール・ギュントが空中を飛んで行つた眼に見えない外套やら猫の皮やら、ペールにいわくあるものが売られている。

ペールはペール・ギュントとはどんな人物かを尋ねてみた。大うそつきだ、絞殺されたという。ペールはお辞儀をして去る。
 

Peer Gynt by Arthur Rackham

アーサー・ラッカム 挿絵本より
絲鞠、萎んだ木の葉、中空の嘆き、露のしづく、折れた藁、オーセの声



聖靈降臨祭の前夜。ペールは見覚えのある小屋を荒野で見つけた。

降臨祭の祝いの支度もできました。
遠くへ出かけたいとし子よ、もうじき帰っておいでになる。
仕事に骨が折れるのか、てまどること、てまどること。
それでもむかし契ったとおり、待ってます、待ってます。

「貞節を守る女もいれば、忘れてしまった男もいる。男は人生を賭で失ったが 女はじっと待っている。おゝ、真面目さよ。それは決して帰ってこない。 おゝ、恐怖よ。ここにこそわたしの帝国があったのだ。」

そうしていよいよ「ボタン職人」が墓からやってくる。

ペール・ギュンターを鑄物柄杓に入れてすっかり溶かしてしまうという。

ボタン職人は言う。

「高い意味に於ける罪人では決してありません。 それだからこそあなたは拷問の苦痛をすつかり免ぜられ、他の人たちと同じように鑄物柄杓の中に落されるのです。」

「人間に精神のある限り、また精神あるが故に、人間というものはいつも金屬と同じような価値のあるものなのです。」

「コンクスベルク(王立造幣局)と同じ刻印が磨滅するほど永い間流通した貨幣で、 これと丁度同じことをやっていますよ。 」

ペール 
「金属になるくらいなら他のものになりますよ。」

なぜなら自分の「自我」というものを少しでも奪われたくないから。

「あの鑄物の湯柄杓で、ギュントたることをやめると言うことなどは、 わたしの奧底の魂を叛逆させずにはをきませんよ。」


Jim Lichtscheidl plays the button moulder in Guthrie Theaters Peer Gynt, translated by Robert Bly. (Photo © Michal Daniel, 2007)

ボタン職人 ジム・リヒトシャイドル 
ペール・ギュント ガスリー・シアター
 (Photo © Michal Daniel, 2007)



つまり貨幣と人間の価値を等しくすることはないけれど、イプセンは「人間の価値」をペール・ギュンターに与えていない。だからペールを貨幣価値に置き換えている気がする。

そこでボタン職人はペールに意外な返答をしている。

「ギュントさん。こんなつまらないことにそんなに力むには及びませんよ。 あなたは全然あなた自身ではなかつたのです。 ですからあなたの權利が全く消滅したところで何でもないじゃありませんか。」

「命令書にはこう書いてあります。汝はペール・ギュントを召連れざるべからず。 ペールは一生の使命をあくまで蔑視した。ほかの汚れた材料と一緒にペールを湯柄杓の中に叩き込め、とね。」

自分の好きなように生きて、自己満足してきたペールには、それが「自分自身」であったけれど、イプセンはそれを認めない。ボタン職人は親方の命令書を持っている。その親方こそイプセン自身だ。

あなた自身ではなかったというボタン職人に、自分には自我がある。それが自分自身だろうというのがペール。

ボタン職人
「自分自身たることとは自分自身を殺すことです。併しこの答はあなたには勿論よくおわかりになりますまい。 ですからこう申しましょう。親方の趣旨を掲げて見せて、随処に頑張ることですよ。」

さらに「親方の趣旨を推量しなければいけないのです。」と言う。

ペールは趣旨を推量するどころか「わたしはもう自分自身たることを述べ立てませんよ。」と言う。

自分自身を証明をするのは容易じゃない。それなら罪業の明細書を持って罪人となり牧師を見つけて、てっとりばやく懺悔をしたほうがマシだと考えるペール。

だがうまくいかない。

ペール
「梟がボウボウと鳴いている。」
ボタン職人
「朝のお祈りの鐘が鳴っているのです。」

ペール
「向こうに光っているのは何でしょう。」
ボタン職人
「小屋から射してくる灯りですよ。」

ペール
「悲しみ嘆いているような声も聞こえてくるじゃありませんか。」
ボタン職人
「女が歌を唄っているだけですよ。」

ここで第3幕のオーセの臨終の場面が繰り返された。ボタン職人によって。ペールの母オーセへの慈しみ深く感じた会話が、ここではじめて空々しく感じられる。おとぎ話のようなペールの言葉が嘯く言葉に感じられる。

そしてとうとうソルウェイク(ソルヴェイグ)の小屋へ行く。

「わたしの犯した罪を声高く叫んでおくれ。」

ソルウェイク(ソルヴェイグ)
「わたしの一生を美しい歌のようにしてくれました。それでとうとう帰ってて来てくれたことはありがたいこと。 それに聖靈降誕祭の朝にわたしたちが再会するなんて、よけいうれしいことじゃありませんか。」

ペール
「では私が私自身として、 全人格者として、真の人間として何処にいたか。 神の刻印を額につけて私が何処にいたか。」

ソルウェイク(ソルヴェイグ)
「わたしの信の中に、わたしの望の中に、そしてわたしの愛の中に。」(信仰、希望、愛)

ボタン職人
「もう何も言いますまい。」

ソルウェイク(ソルヴェイグ)の子守唄でペール永眠。

つまり「自分自身」とは「自我」ではなく、あるがままに受け入れて、そのあるがままを求める他者の存在にこそあったのだ。

これが親方、そしてイプセンの趣旨だろうか?いや、短絡的すぎ。

最後のソルウェイク(ソルヴェイグ)の言葉の信仰、希望、愛はキリスト教の三元徳。使徒パウロと兄弟テモテからコリントの信徒へと宛てられた手紙1の13章にある言葉だ。

1 我喩ひ、人間と天使との言葉を語るとも、愛なければ鳴る鐘、響く鐃鈸の如くなりたるのみ。
2 我喩ひ、預言する事を得て、一切の奥義、一切の知識を知り、また假令山を移す程なる一切の信仰を有すとも、愛なければ何物にも非ず。
3 我喩ひ、わが財産を悉く分け与え、また我身を焼かるる為にわたすとも、愛なければいささかも我に益ある事なし。
4 愛は堪忍をし、情があり、愛は妬まず、自慢せず、驕らず
5 非礼を為さず、己の為に謀らず、怒らず、悪を負わせず
6 不義を喜ばすして真実を喜び
7 何事をも包み、何事をも信じ、何事をも希望し、何事をもこらうるなり。
8 預言は廃り、言葉は止み、知識は亡ぶべきも、愛は何時も絶ゆる事なし。
9 蓋し我等の知る事は不完全に、預言する事は不完なれども、
10 完全なるところ来たらば不完全なるところは廃らん。
11 我が小児たりし時は、語る事も小児の如く、判断する事も小児の如く、考うる事も小児の如くなりしけど、大人となりては小児の事を棄てたり。
12 今、我等の見るは鏡を以ってして朧なれども、彼の時には顔と顔とを合せ、今、我が知る所は不完全なれども、彼の時には我が知らるるが如くに知るべし。
13 今、存するものは信、望、愛、この三つなれども、なかんづく最っとも大いなるものは愛なり。

この戯曲、ペール・ギュントとソルウェイク(ソルヴェイグ)をもって、キリスト教の三元徳を知らしめることが趣旨だったと言えないだろうか。

最後に僕の発見だけれど、きっとソルウェイク(ソルヴェイグ)は生涯処女であり、聖母マリアと見ることもできるかも。



追記 バラ ペール・ギュント (TBども!)

なんか、バラの名前にペール・ギュントってあるらしい。ドイツのコルデス家が作出している。

記事 薔薇ペール・ギュント エックの歌劇ペール・ギュント

それで同じドイツにちなみ、ヴェルナー・エック(Werner Egk)の歌劇「ペール・ギュント」を、あわせて紹介している。

またまた追記

なんか、クリスチャン・ラクロワ バレエ・コスチューム展の記事のTBきた。

記事 パリ・オペラ座 La Source(泉) アングルの泉 ドガの泉 ラクロワの泉のパリ・オペラ座舞台衣装展から


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薔薇 ペール・ギュント 1968 作出国 ドイツ 作出者 ライマー・コルデス&nbsp;(Reimer Kordes)(W.コルデス・ゼーネ社 W. Kordes' S&ouml;hne) sai&nbsp;がイプセンの戯曲「ペール・ギュント」(1867年)にグリークの劇音楽ペール・ギュントの記
| Life Style Concierge | 2012/08/07 11:02 PM |
1866年11月12日にパリ・オペラ座で「泉」が初演されました。昨年10月にパリ・オペラ座で公演された「泉」はパリのオペラ座で135年ぶりの公演ですが、残念ながら復元された「復刻版」ではありません。当時、ルイス・マルケ(Louise Marquet)が演じたジプシー(ボヘミア
| Life Style Concierge | 2012/09/08 7:21 PM |

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